空気ごくごく飲んで、
げんきよさそう、
こいのぼり。
風にすいすい泳いで、
きもちよさそう、
こいのぼり。
その昔、わりと本気で空を飛べると思っていた。
パーマンのマントを付けて、日夜走り回っていた。
パーマンが大好きすぎて、
きこえないなりに、
パーマン御用達のトランシーバーも買ってもらって、
片割れを妹に無理やり握らせて、
「もしもしパーマンです」
と、悦に入っていたんだそういえば。
目の前で大声で話すので、トランシーバーの意味はまったくないという。
音痴なわたしだけど、今もなぜか、パーマンの歌はうたえる。笑
風を全身にはらんで、みずからも風になる鯉のぼりを、
やっぱりかっこいいなあと見とれる自分と、
風を浴び続けるなか、ずっと目を見開いている鯉のぼりを、
目が乾いてつらくないのかしらと案じる自分と。
5月の空の下、鯉のぼりを眺めるときのいつもの思い。
いまはもう、空は飛べないと、分かっているけれど。